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このブログの趣旨と目的
ガネーシャの課題一覧
今回の課題:苦手な人の信念を読み取る
この課題の目的
苦手な人と向き合うというのは、自分の弱点と向き合うことだと考えています。私たちが人のことを苦手だと思うのは、その人が今の私たちにはない信念を持っているからです。そして、私たちはその信念を心の底では正しいと認めているから、認めたくなくて「苦手」や「嫌い」という盾を使ってその人を遠ざけようとするのだと思います。
私のお気に入りの本「神さまとのおしゃべり」でもこのような話が出てきます。主人公はとにかく仕事を効率的に素早くこなすことが得意で、細かいことをいちいち指摘して丁寧さを求めてくる上司を「苦手」だと思っていました。この「苦手」の理由は主人公の子供時代にありました。彼は母親に手作りのプレゼントをしました。受け取った時に母親は喜んでくれましたが、後で姉と母親が「もう少し丁寧に作れたらいいのに」と冗談混じりに笑っているところを主人公は見てしまいます。この経験から主人公は自分の作業に丁寧さが欠けていること、丁寧さが人の喜びにつながることを学んでいました。だから、自分にはない正しさを見せつけてくる上司のことを主人公は「苦手」だと感じていたのです。
誰かを「苦手」と感じたり否定したくなったりするのは、心の奥底で相手のことを正しいと認めているからです。でもその正しさは自分の現段階の価値を脅かすものだから、私たちはそれを「苦手」だと言って目を背けてしまいます。もし誰かに批判されたとして、その批判は自分には該当しないと心から思えるならわざわざ「苦手」だなんて防御をする必要もありません。例えば、あなたはウォーキングの習慣はないけれどとても元気な状態だとします。そしてテレビでウォーキングの専門家さんが「毎日ウォーキングもしていない状態で体調が悪いですと言われても、それは眠っていないから眠いんですけどどうすればいいですかと言われているようなものです。」と批判的なことを言っているのを目にします。特に体の不調を感じていないあなたは「ウォーキングって重要なんだなあ」くらいに思うでしょう。しかし、もし最近体調が優れていない場合のあなたは、「何だこいつ」とその専門家さんをTwitterで血祭りに上げることでしょう。
私たちはおそらく、私たちに人生の解決策を示そうとしている人に嫌悪を感じているのだと思います。でもその人の信念を受け入れるのは一時的に自分自身を否定することになるからそれは避けようとします。今回の課題の目的は苦手な人と向き合うことで、人生の解決策を手に入れる習慣をつけることです。大切なのは、とにかくその人と会話をし、同じ時間を過ごし、その人の信念の全容を知ることで、受け入れられない部分を噛み砕いて摂取できる状態にすることだと思います。
実践した結果
私にとっての苦手な人は言うことを聞かない子どもかなと思っていました。しかし今週は子どもたちの信念を読み取るチャンスを作ることができませんでした。その代わりに、ある人の信念を読み取ることにしました。我らが校長先生です。
私の学校の校長先生はこのブログでも何度か登場している重要キャラクターです。今年から我が校に赴任されて、その手腕で数々の改革を進めている強者です。とにかく礼儀や時間、子どもたちのことになるととても厳しく、私だけでなく多くの先生が働く姿勢や生徒指導の方法など大幅改造されているところです。おそらく多くの先生が校長先生を「苦手」だなと感じています。
そんな校長先生に今週も私は一つ注意を受けました。私の学校では学校外からの様々な文書が担当者の机に置かれ、それをまずは管理職に回覧してからまた担当者の机に返ってくるというシステムがあります。クラスの生徒があるコンクールで次の選考まで進んだというお知らせの文書を、私はその生徒に渡してから管理職に回覧しました。すると、「順番から違います 校長」とだけ書いて私の机の上に返ってきていました。正直「その通り」と思いながらも、何でいつもこんな威圧的で否定的な感じなんだと怒りの感情も湧いてきました。これは校長先生の信念を読み取るチャンスだと思いました。なぜいつも威圧的で否定的な態度で指導をするのか聞くぞと心に決めました。私は校長室へ乗り込みました。そして、「順番を間違えてしまってすみませんでした。」と謝ることしかできませんでした…。さっきまでの勢いはどうしたーー!と心の副音声が入りました。しかし予想に反して校長先生からの反応は穏やかで、「本人に渡してから管理職が見てもストップもゴーもかけれないから先にこっちに回してね。そのための回覧だから。」というものでした。わかりましたと言って部屋を出ようとすると引き止められて、一瞬ビビりましたが、「転職活動はうまくいってるの?もう会社決まった?」と転職活動の心配をしてくれました。「こ、校長先生…!」とさっきまで校長先生にバトルを仕掛けようとしていた自分が急に小さな子供のように感じました。
そして今週の土曜日の夜に最大の課題実践イベントがありました。私が所属するバスケ部の外部コーチをされている方(30年以上続けてコーチをされている超ベテラン)を労うための飲み会が開かれることになっていました。参加者は私、コーチ、校長先生、教頭先生、副教頭先生でした。みんなレベル50超えてるのに1人だけレベル5のやつマルチプレイで入ってきたーみたいなパーティ!正直最初は美味しい夜ご飯を楽しもうくらいの気持ちでした。途中で、これは課題実践の大チャンスじゃないかと気づいた時は俄然笑顔で話を聞けるようになりました。
人の信念や考えの全容を知るにはやはり会話が必要です。今回は職場ではなく居酒屋の個室でいつもとは違う環境で話すことができたのも良かったと思います。校長先生の話や、外部コーチに対する態度などから読み取れたことがありました。私は当初夜ご飯を食べにきていたので、出てきた料理をすぐに食べていました。お酒も自分のペースで飲んでいました。すると校長先生が、「今日はいいけど普通はなあ、ゲストのペースに合わせて食べたり飲んだりするのが礼儀だぞ」と笑いながら教えてくれました。今回のゲストであるコーチのペースに合わせるのが礼儀だという意味でした。私は以前読んだ本で「ミラーリング」という、人との信頼関係を作るテクニックについて思い出しました。相手がグラスを持ったら自分もグラスを持つ、相手がフォークを手に取ったら自分もフォークを手に取る。このように相手と同じ行動をとると安心してもらえる的なものだったと思います。校長先生はゲストであるコーチを喜ばせるためにここにきているんだなと思いました。店を出る時もコーチにコートを着せてあげ、後で私に「こういうこともお前がやれるといいんだけどなあ」と笑って教えてくれました。
二次会は私と校長先生と副校長先生の三人で2人の行きつけの寿司居酒屋に連れて行ってもらいました。今までに食べたことない美味しさのカツオの刺身や、お寿司が次々と出てきて食事自体が最高に楽しかったです。最後にお腹いっぱいで副教頭先生に譲ったサーモン一貫が今は惜しいです。二次会では校長先生から「こういう話ができる時間を作るのはどの仕事をするにしても絶対大切だ。」という言葉をいただきました。お酒は健康に良くないし気持ち悪くなるのでできるだけ飲みたくないですが、苦手だけど自分の人生の解決策を持っている可能性のある人を受け入れるためにも会話の機会を作ることはこれからも大切にしていきます。
今回の課題を通して、校長先生が礼儀や時間や子供たちのことになると厳しい態度をとる理由が少しわかったような気がします。学校の教員は、子供や親、その他の関係者に喜んでもらうために全力を尽くさなければならないという信念を校長先生は持っているからです。もちろん教員に心地よく働いてもらうことも考えてくださっています。しかし、私たち教員の優先順位は子供や親やその他の関係者よりは下にあるからある程度厳しい態度で接し、より大切なものを守ろうとしているのだと思います。手に入れるためには捨てなければいけないということですね。
まとめ
今回の課題で大切なのは、「苦手」な人は私たちが持っていないものを持っていて、それを私たちに教えてくれる可能性があると言うことです。もちろん、価値観が似ていて接しやすい人と多くの時間を過ごすことで自分の価値観や信念をより強固なものにすることも大切です。でも好きな人と時間を過ごすなんて、美味しいものがあったら食べるみたいなもので、無意識にやっています。だからガネーシャはあえてこの課題を出したのだと思います。「怒りの気持ちを伝える」でも似たようなことを言いましたが、「苦手」にも自分を知るためのヒントが隠れていると気づけると人間としての器が大きくなりそうです。
次回の課題:自分と違う分野・文化の人と話す
教員をしていると、なかなか教員以外の人と話をする機会は少ないので次回の課題も私にとっては刺激的なものになるような気がします。おそらくこれは私が「苦手」な人と話すと言い換えることもできるんだろうなと思います。人生の解決策引き出します。
コメント
おはようございます。
今回も楽しく拝読させていただきました。
今週もがんばりましょう。
ゆきっちょさん
いつもありがとうございます。
ゆきっちょさんのおかげで
今週も書けました。
僕の毎週の楽しみになっています。
こちらこそ,いつもありがとうございます。