目次
このブログの趣旨と目的
Twitterではこれまでの課題の再実践や、その週の課題の中間報告などをおこなっています。こちらもぜひチェックしてください。
ガネーシャの課題一覧
今回の課題:実物を見る
この課題の目的
今の世の中は本当に便利です。なんでも家の中で見ることができます。テレビでいろんな観光スポットの紹介や、スポーツの中継などを見ることができます。映画館に行かなくてもサブスクリプションサービスで月1000円でいくらでも名作を楽しむことができます。レンタルショップに行かなくてもアニメやドラマを好きなだけ見ることができます。今や、本さえも本屋に行かずに電子書籍やオーディオブックで楽しむことができるようになりました。誰かに教えてもらわなくてもYouTubeを見れば料理だって作れるし、スポーツの技術も学ぶことができます。
これらのメディアは私たちに手軽で高品質な学びを与えてくれます。知ろうと思えば、あらゆることを知ることができる時代です。世界が知っていることと私たち個人が知っていることに大きな差は無くなってきていると言っても過言ではありません。しかし、ガネーシャに言わせるとそれは「知っている」のではなく、「知った気になっている」だけなのだそうです。
「実物を見る」ことで自らを飛躍させた偉人として、「モナ・リザ」を描き、「万能の天才」と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチが例に挙げられています。
彼が若いころ、師事していた芸術家のもとで解剖実習が行われた。被写体をリアルに描くために骨格や筋肉のつくりを知る必要があったのだが、この解剖実習に誰よりものめり込んだのがレオナルドくんだった。そして彼は『生物をもっと詳しく、正確に知りたい』という思いから、医学、物理学、数学へと、その興味を広げていったのだ。
夢をかなえるゾウ0 水野敬也
おそらく「実物を見る」ことで得られる情報と、スクリーンや文字媒体を通して見ることで得られる情報に大きな差はありません。ダ・ヴィンチが解剖実習で見たものは当時の本から得られる情報とほとんど一致していたはずです。
しかし、人は「情報」で動くわけではありません。もし、人が「情報」で動くのであれば、中学生は毎日3時間くらい勉強をして、提出物は必ず期限内に提出し、英単語の小テストでは全員が毎回100点を取るはずです。そして私も全ての書類や報告ものの期限を守り、毎回生徒が最高に楽しめるかつ、最高に理解できる授業をしているはずです。そうするべきだとわかっているし、そうするための情報もいくらでも手に入れることができるからです。しかし、現実はそうではありません。なぜなら、人は外からの「情報」ではなく、内からの「感情」で100%動いているからです。いくらそれが自分にとって良いことらしいという情報を持っていたとしても、自分がそうしようと思わなければ絶対に行動には移しません。大事なのは「情報」を手に入れることではなく、「感情」が動かされる方法でその「情報」を手に入れたかどうかなのです。
もしダ・ヴィンチが本だけで人体について学んでいたなら、おそらく吉良吉影は生まれていなかったでしょう。解剖実習で「実物を見る」ことによって『生物をもっと詳しく、正確に知りたい』という「感情」が生まれ、広く学問に精通した結果「モナ・リザ」の美しさが完成したのです。
「実物を見る」というのは「感情」が動かされる「情報」の取り入れ方の最上級です。もちろん本で読んだ情報や、YouTubeで学んだ情報だけで感情を動かされる人もいるでしょう。私のように情報に影響を受けやすい人はそうだと思います(これも良し悪しですが…)。しかし、「実物を見る」ことで「もっと知りたい」という感情が生まれます。おそらく、「実物を見るまでしているのだから自分はこの対象に心から興味を持っているに違いない」とでも脳が勘違いするのでしょう。そうなると学ぶことが楽しくて仕方なくなってきます。
まとめると、今回の課題の目的は「実物を見る」ことによって学ぶことが楽しいと思えるところまで自分を持っていくことです。
課題を実践した結果
私が今回実践した「実物を見る」は三つです。健康保険と映画、そして強豪チームの練習です。
一つ目は健康保険です。皆さんは健康保険の「実物」を見たことがありますか。あなたの頭の上に「?」が三つ並んでいるのが見えます。私も今回初めて「実物」を見て説明できるようになりました。
今週は何かと体調がすぐれない日が続いていました。火曜日は喉の痛みと強めの頭痛があり、勤務時間が過ぎたらすぐに退勤して病院に行くことにしました。体調が悪くて病院に行くなんて小学校以来ではないかというくらい久しぶりでした。病院自体が「実物を見る」に値するくらいの存在でした。そのため、私は重要なことを忘れていました。現在私は健康保険証を持っていないのです。夏休みに旅行をした際に財布ごと無くしてしまい、そのまま再発行をしていなかったのです。
あなたは保険証を持たずに病院へ行ったことがありますか。もしないのであれば、そのままのあなたでいてください。病院では診察と、コロナの簡易検査、そしてうがい薬と頭痛薬的なものを処方していただきました。そして、そのお会計に驚愕しました。「保険が適用されないので14000円になります。」1万円しか手持ちのなかった私は病院にツケをお願いするところでした。
しかし、マイナンバーカードを使って保険証の情報をスマホで出すことができたので、それを見せると、「それで保険適用します。」と慈悲深い判決を下していただけました。保険を適用すると合計で2800円ということでした。その差額に更なる衝撃を受けました。私たちが毎月払っている15000円くらいの健康保険料はこうして病院に行く方のために使われているのだということに気づきました。
意図的に「実物を見る」をしたわけではありませんが、私たちの生活を支えている社会保障制度の一つの実体を垣間見ることができたという話でした。知らないところで私たちを支えてくれている制度や、活用できる制度がないかもっと知りたくなりました。そして、保険証はすぐに再発行します。
二つ目は映画館で映画を見るです。「実物を見る」を実行するのに手っ取り早くて私が興味があるものと考えたときに思いついたのが映画でした。今年に入って初めて映画館で映画を見ました。
金曜日の仕事終わりにレイトショーを狙いました。私が担任をしているクラスの子どもたち全員が見ているのではないかと思うほどにみんなが見たと言っていた、「One Piece Film Red」を見に行くことにしていました。20:10からの上映だったので間に合うだろうと思っていましたが、次の週の月曜日にある定期テストの作成が私の行手を阻みました。同じ学年を担当している先輩の先生になかなかOKがもらえず、結局学校を出たのが20:05になりました。「おいおいこれじゃワンピース見れねえじゃねえか!ゴムゴムのJETガトリングー!!」という思いから不機嫌さが滲み出ていたこと否定できません。向かいにいた後輩先生に、「チョコ食べて落ち着いてください」と気遣われるほどでした。人望を無駄に消費してしまいました。
映画館までは15分くらいの距離だったので少し遅れてでも入れるかと期待していました。しかし、券売機のタッチスクリーンを見るとワンピースのチケットはもう買えなくなっていました。「ワンピースが見れないならわざわざ映画館に来た意味もないじゃないか!」そんなことを思ったそのとき、私の中のジンベエが私にこう言いました。
失った物ばかりを数えるな!!! 無いものは無い!!!
確認せい!! お前にまだ残っておるものは何じゃ!!!
One Piece 60巻 尾田栄一郎
私はタッチスクリーンを確認してまだ4つチケットが買える状態の映画があることを確認してジンベエにこう言いました。「ガリレオがいる゛よ!!!!」
私が中学生の時にテレビドラマとして放送されていて、なかなかに思い出深い作品です。それが今年の9月から映画版として帰ってきていたのです。全く見る気はありませんでしたが、せっかく映画館に来たので見てみることにしました。
一言で言うと、「実に面白い」映画でした(鋼のメンタル)。ただ映画版ガリレオあるあるかもしれませんが、福山雅治演じる湯川先生が超万能で全てを面白おかしく解決するという簡単な話ではありませんでした。「世の中には良い人と悪い人いる」、「悪い人が負けることがみんなの幸せ」のように簡単な結論を出すことは許さないというメッセージを感じました。「正義の敵は別の正義」という言葉が私の好きなアニメ化もされた小説(西尾維新の「物語シリーズ」)があるのですが、まさにそんな話でした。ぜひ見てくださいとまでは言いませんが、福山雅治がますます素敵なのと、柴咲コウが永遠に綺麗だということだけは保証します。あと、ずん飯尾の演技力が爆発していました。
映画館で映画を見ることで感じたのは、実物のパワーです。「沈黙のパレード」を家でサブスクリプションサービスで見ていたら、途中でスマホをかまっていたと思いますし、もしかしたら途中で寝ていたかもしれません。多少興味はあったものの全く見る気もなかった映画だったわけですから。しかし、映画館という環境にいることで映画に圧倒的に集中できたました。その結果ベストな映画体験ができたと確信しています。なんでもそうだと思いますが、本物を前にした時に初めて人は本気になります。そして、本気になったら楽しくないことなんてありません。そんなことに気づきました。
最後は強豪チームの見学です。先日部活(バスケットボール)の大会がありました。市予選は勝ち上がって県大会には出られることになりました。しかし、新チーム結成当初の練習試合では互角だったチームに大敗をさせてしまいました。今までしてきた練習の全てがダメだったとまでいうほど自分を責める気はありません。それでも何かを変える必要があると思い、例年県でもトップレベルを争っている私立中学のバスケ部の練習を見に行くことにしました。
チームのコーチとして強いチームの練習を見に行くというのは誰でも思いつきそうな基本的なことですが、私にとっては初めてのことでした。まずお願いの電話をするところからスタートです。向こう側にはなんのメリットもないことです。どんなリアクションをされるのだろうと不安な気持ちもありました。しかし、そのチームの監督さんは快く受け入れてくださいました。もうこの時点で課題達成したくらいのワクワク感がありました。なんというか、願いは叶うものだなと感じました。
実際に練習を見に行って、良いことしかありませんでした。練習の最後にその強豪チームの子どもたちに伝えた私が気づいた3つのことをまとめて書きます。
一つ目は、魔法のように上手になる特別な練習があるわけではないということです。私の学校でもやっているような練習がほとんどでした。ではなぜ強いのかの理由に当たるのが二つ目と三つ目です。
二つ目は県内でトップとは言え、どこかでぶつかるライバルとの戦いに備えて、危機感を持って練習をしているということです。試合形式の練習をしている時にコーチが一つのプレーを見て試合を止めました。「このプレーができなかったら〇〇(ライバルチーム)に負けるんだ」とコーチが言って何度も繰り返しその場面の練習をしていました。具体的な場面と相手を想像した上で、目的と危機感を忘れないように練習をしていました。
三つ目はずっとバスケをしているということです。3時間という長くはない練習時間の設定でしたが、その間子どもたちは自分がプレーしている時間も他の人がプレーする時間もずっとバスケをしていました。他の人がプレーしている時に給水をしたり体を休める時間はありますが、心はずっとバスケに向いていました。体育館にいる同じ3時間でも実際にバスケをしている時間の長さが違いました。
私のチームではメニューとメニューの間で毎回集中を切らしています。メニュー中にも集中が切れるような練習をさせてしまっています。それではバスケが楽しいとは思えないし、やる気も出るはずがありません。バスケのことだけを考えられるような練習をさせることができれば、子どもたちはもっとバスケを好きになるし、上手になると気付きました。
練習の後に監督さんから、自分が先生のチームの監督ならこれをするよと言って、攻撃をする時に使える作戦を一つ伝授してもらうこともできました。子どもたちにもう一つお土産ができて最高でした。
まとめ
今回は少し長くなってしまいました…。「実物を見る」というこの課題は、学習を、人生を楽しくするために最も大切なことなのかもしれないと感じました。保険証なしで病院に行かなければ健康保険が実在していることのありがたさを意識することもなかったでしょう。映画館に行かなければ、劇場版ガリレオを心から楽しむことはできなかったでしょう。実際に足を運んで強豪チームの練習を見なければ、自分のチームが抱える問題に目を向けることもなかったでしょう。わかっているようなことでも、「実物を見る」ことで初めて本気で心から向き合うことができるようになります。これからもひと手間を惜しまず「実物」にこだわって自分の感情をうまくコントロールしていきます。
次回の課題:過去の出来事を「伏線」ととらえ、希望を持ち続ける
次回の課題は「夢をかなえるゾウ0」の中で私が一番気に入っている考え方です。この作品の中でというより、今まで出会った考え方の中で一番気に入っていると言っても過言ではありません。別の本や偉人の言葉にも似たような考え方が登場していることもあって、より思い入れも強くなっています。
今週も私に降り注ぐであろうネガティブを全て「君たちは、伏線だ」と言って抱きしめるのがすごく楽しみです。それではまた来週もぜひきてください。
コメント
おはようございます。
今回も楽しく拝読させていただきました。
“人は外からの「情報」ではなく、内からの「感情」で100%動いている。いくらそれが自分にとって良いことらしいという情報を持っていたとしても、自分がそうしようと思わなければ絶対に行動には移さない。大事なのは「情報」を手に入れることではなく、「感情」が動かされる方法でその「情報」を手に入れたかどうかだ。”
とても勉強になりました。今週も頑張りましょう。
ゆきっちょさん
いつもありがとうございます。
毎回私の拙文からパンチラインを的確に読み当てていただいて嬉しいです。
自分で情報を得るときにも相手に情報を与える時にも大事にしたいことですね。
今週もがんばりましょう。
本日,私もまかばくすさんに習って「実物を見る」を実践しました。
僕が憧れている人を見てきました。
実物を見た時,私は“感動”しました。自分の人生を振り返ってみると,“感動”という言葉をちゃんと使ったことはこれが初めてでした。そして,感動した理由を自分なりに考えてみたのですが理由はわかりませんでした。感じたことのない感情だったからだと思います。
実物を見終わった後,しばらく放心状態になりながら,このブログを読み直しました。まかばくすさんが書かれていた通り,私は「実物を見る」ことで「感情」が大きく突き動かされました。そして,実物を見るものとそうでないものでは遥かにレベルの違うものなのだと実感しました。確かに私に入ってきた“情報”は映像で見るものと大差なかったのかもしれません。ただ,感情が動かされることで,自分の目に見えているものの見方がより鮮明になりました。自分が本気で見たい,知りたい,ああなりたいと思っているものであればあるほど「実物を見る」ことの効果は絶大であるのだと思います。感情が激しく動いたことで,より深く裸の自分を知ることができました。「“実物を見る”ことは,人生を楽しくするために最も大切なことなのかもしれない。」というのは本当かもしれません。
ゆきっちょさん
課題実践の報告ありがとうございます。
私のブログを読んで課題を実践していただけたこと、大変嬉しく思っています。
『自分が本気で見たい,知りたい,ああなりたいと思っているものであればあるほど「実物を見る」ことの効果は絶大である』
というのはこの課題の重要なポイントになりそうですね。全てを見ることはできないですもんね。選択と集中ですね。
私も人生を楽しくするために”実物を見る”ことを怠らないようにします。
自分の感情を動かすことを怠ると夢に向かうための行動が減ることに繋がります。
お互いにまだまだ人生楽しくできそうですね。
改めて、課題実践の報告ありがとうございました。